♫「僕らが生まれてくるずっとずっと前にはもう、アポロ11号は月に行ったっていうのに」
ある有名なJ-popの歌詞。

G Q読者の中には、この歌詞に共感した世代も多いかと思います。
私には確か5歳の時の出来事でしたから、うる覚えですが
アポロの出来事はT V中継を見ていた記憶があります。
「ずっとずっと前」って所に私、昭和のおじさんは違和感を持ってしまうのですが。
さておき、少し前のことでしたが「オメガ=OMEGA」は、
アポロ11号による人類初の偉業である月面着陸「50周年」を記念したイベント
「GOLDEN MOMENTS」を7月19日に原宿駅前のイベントスペース
「jing / ジング」で開催されました。

オメガにはこの偉業を祝う理由があります。
そう1969年7月20日ユニバーサルタイム(UTC)20時17分、アポロ11号のバズ・オルドリン
飛行士の腕に巻かれたオメガ・スピードマスター プロフェッショナルは、
彼と共に月面に最初に降り立ったのです。
腕時計として唯一無二の「ムーンウオッチ」が誕生した瞬間でした。
本家本元のN A S A がこの人類の偉業を祝うイベントを行ったと言う様子は聞こえず、
国際オークションでは、門外不出だったアポロ11号の歴史的資料が出品され、

ニュースにこそなりましたが、
オメガは最も身近なアポロにまつわるハードウエア「ムーンウオッチ」があるだけに
最も盛り上がったイベントでしょう。
私はこのJingと言うイベントスペースは初めてでしたが、
オメガはこの結構広い場所を黄金色に輝くアストロノーツでイメージ統一。

月面で太陽光を浴びたアストロノーツの姿はきっとこうなんだろうと、想像をかき立てます。

我らが編集長はじめ300人ものゲストが来場したそうですが、
中にはちょっとイキスギ?と思われる様なオメガファンや、

オークションでもそうそうお目にかからないゴールドモデルを上品に着けこなす紳士など、

尋常ならざる「オメガ愛」を感じました。
他ブランドのイベントではこんな事はまずあり得ません。
この会場では、2種類の記念モデル
「スピードマスター アポロ11号 50周年記念 リミテッドエディション」と
「スピードマスター アポロ11号 50周年記念 リミテッドエディション
ムーンシャイン ゴールド」のお披露目がありましたが、

私はオメガ事業部のご好意で
事前にじっくりと触る機会を持たせていただきました。



ですから余裕もあって、この会場では時計もさることながら、
日本人宇宙飛行士の山崎直子さん=(Naoko Yamazaki)による
スペシャルトークをじっくり聞かせて頂きました。
宇宙ミッションと時計との特別な関わりを強く感じる素晴らしトークでしたが、
彼女の言葉で印象的だったのは、

「宇宙で時計はとても大切です。それは地球の司令室との交信が途絶えている間は、
この腕時計が唯一の頼りなのです。
特にアポロ計画では、エンジン噴射のタイミングなどをこの腕時計で計る必要があった。」
と。
アポロ計画6回の月面着陸にかかったコストは、現在の貨幣価値にすると14兆円!
を超えるとされます。
ですがその計画のキモとなるハードの一つが、
一般市販品からNASAの厳しい検査をくぐり抜けて制式採用された、
当時からもわずか数十万円の腕時計だったとは。
PR用の美しい言葉の羅列ではなく、本物の宇宙飛行士の口から、
「成否を左右するのがこの時計です」と言われると、
宇宙に憧れたオトコはムーンウオッチは欲しくなります。
スピードマスターが活躍する姿は、
映画にもなった「アポロ13号」のストーリーが最も有名ですね。
もちろん劇中ではトム・ハンクスが使っています。
さて今回発表されたリミテッドモデルを簡単に説明すると、
新素材「18Kムーンシャイン™ゴールド」を随所に採用。
これはオメガが新開発した18金で、色目はシャンパンゴールドに近い色調ですが、
経年変化が少ないと言うもの。

純金は変質しなのですが、18金は割金の関係で黒ずんだりします。
その原因は割金に用いられる「銅」であったり「銀」ですが、
それを色目に注力しながら、新たな配合を完成させたと言うことでしょう。
ムーブメントもついに大幅に進化。
スピードマスターといえば手巻きクロノグラフのCal.1861でしたが、
Cal.3861になり、オメガならではのスイス連邦計量・認定局(METAS)による
「マスタークロノメーター」化を果たしています。

超帯磁で念願のハック機能を搭載。
しかも精度は「0秒〜+5秒」とC.O.S.Cを遥かに凌駕する基本性能を誇り、
プロフェッショナルウオッチとしてアップグレードは完璧と言えましょう。

外装も凝っていて
SS版は9時位置のインナーダイアルに月面に降り立つバズ・オルドリン飛行士の姿が、

そしてケースバックにはニール・アームストロング船長が初めて月面に残した足跡が
レーザーエングレービングされています。
ムーンシャインゴールド、SSの共通仕様で、この時計の特別感を最も演出しているのが、
「月の隕石」

がスライスされてセッティングされていること。

正直私はリミテッドモデルでも、見た目は普通の仕様でいいのですが、
この月の隕石はちょっとグッときます。
そもそも、手に入れようにも不可能なものですよね、「月の隕石」。
これこそ、この時計に相応しいディテールではないでしょうか。
オメガはこのところ凄まじい勢いで魅力的な新製品をリリースしています。
内外装ともに進化が早い。
特にシーマスターシリーズは価格と性能のバランスが素晴らしいし、

デ・ヴィルシリーズもエレガントさがグッと増しています。

日本だとスピードマスターしかフォーカスされないブランドで、
確かにイベントからは本当に惚れ込んだファンが多いのが分かります。
しかし、オメガの他のモデルも決して劣っているわけではありません。
月面着陸があまり偉業故に、
オメガ=スピードマスター=ムーンウオッチ
のイメージになったのでしょう。
このイベントをきっかけに、他のモデルも多いに気になったのでした。
オメガはやはり超一級のスイスウオッチブランドです。
