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Wandering Position

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 砂絵で描かれた国旗や紙幣等が蟻によって侵食される "Ant Farm Project" や犬島アートプロジェクトなどで知られるアーティスト柳幸典の30年に及ぶ活動の回顧展「柳 幸典~ワンダリング・ポジション」に行ってきました。

 1F、2Fには、彼の代表作である ”ザ・ワールド・フラッグ・アント・ファーム"や”ヒノマル・プロジェクト” など旧作が展示されています。社会的なテーマを持ちながらもユーモラスで、様々な視点から物事を見ることを促すかのような作風が好きで、90年台によく見ていたのが思い出されます。

 圧巻だったのは3Fに展示された近作、新作です。鉄板で出来た狭い通路を、太陽を背に直角に曲がりながら進む "Icarus Cell"。それぞれの角の鏡には三島由紀夫の詩「イカロス」が刻まれており、読みながら光に向かって進みます。出た先には広島型原爆の実寸レプリカ  "Absolute Dud"、そして廃材の中に目が光るインスタレーション  "Project God-zilla —Landscape with an Eye"と続く流れには圧倒されつつも、直視出来ていない我々の愚行が、絶望的に巨大化していることを示唆しているようで、暗澹たる気持ちにもなるのでした。

〜1/7まで、横浜のBankART1929にて開催中。

http://bankart1929.com/archives/1079







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