
とにかくゴージュアスで、かつてない規模のイベントだったので
既に多数報道され、またブログなど様々アップされているので
ご存知のGQ読者も多いかと思いますが、
Cartier=カルティエが10月11日にから21日まで、
新作ハイジュエリー コレクション「カルティエ マジシャン=Cartier Magicien」
の受注展示会が東京国立博物館、表慶館で行われました。


この大変貴重なイベントの基本はカルティエのVIP対象の完全招待制の
ハイジュエリー「受注会」で、
いわゆる展示会やアーカイブ展とは異なります。
URL: www.youtube.com
しかしながら、オークションのハイライト級とも言える
レアピースがこれだけ集まることは、まず奇跡みたいなもの。
ちなみに、この下の写真は前職場で遊んできたもので
カルティエの「D,IF,TypeIIa」のレアピース。


要はこのクラスがゴロゴロしているわけです。
大変貴重と申し上げたのは、カルティエのクリエーションというだけでなく、
4大宝石の最上級品が見られる限られた場であり、その「リファレンス」を
知る事が出来るからです。



でも、さすがはカルティエ、
23日には一般応募で1000人のお客様特別内覧会を実施。
これが単なる販売会でなく、特別なコレクションの場であったことを物語ります。
私は受注会の前日10日夜に、有難いことにプレビューとパーティーのご招待を頂き、
カルティエ演出の素晴らしい雰囲気の中でコレクションを堪能させて頂きました。
新作だけでなく、カルティエ自身によってオークションで買い戻された
ヴィンテージピース、そしてコンプリケーションウオッチ&クロックまで、
すべて販売可能な500点ものハイジュエリー達が一堂に会したのはこれ圧巻。



さすがにこれだけのボリュームと招待客の中でしたので、
一点毎じっくり見るとは行きませんでしたが、十分堪能いたしました。
目の保養などと安い言葉ではなく、かなり有意義な勉強をさせて頂きました。
カルティエさんから最初に頂戴していた案内だと、その後
「都内某所」でパーティーとありましたが、
それは某所というほどでもなく、隣の法隆寺宝物館でした。

国立博物館へは、普段は展示の一部である「黒門」から入場していたのでその左手。
もう丸見え。

残念だったのは、主役はそもそもカルティエのジュエリー達。
カクテル会場にはそれらはありません。
パーティーなんて無くても、会場でジュエリーをずっと眺めていたかったですね。
それにしても、国立博物館2棟をジャックするに相応しい内容とブランドパワーは
カルティエのハイジュエリーにかける情熱です。
さて、日本ではどの有名ブランドも正直なところ、俗に言う
「ハイジュエリー」をあまり積極的に展開していません。
「ハイジュエリーの定義」ははっきりとしたものはありませんが、私から申し上げると、
単に値段が高いとか、ゴージャスとか言うのではなくて
「資産価値持つ」
すなわちサザビーズやクリスティーズなどの国際的なオークションハウスで
「評価される」ものと思っています。


日本だと、元来あまり華美なものを人前に見せたがらない気質と、
ドレスアップするパーティーなど殆ど無いため、
そもそもハイジュエリーをつける環境も文化もあまりありません。
そんな理由もあってか、ブランドのアイコニックなピースは好調でも、
それは高価かもしれませんが所詮アクセサリーの延長線にあるものです。
日本は世界でも優良な市場で、購入可能な層が多くいるにも関わらず、
ハイジュエリーにはあまり関心が向いていなかったのが事実です。
しかしながら、ここでようやくブランドも日本における「ハイジュエリー」市場に
目を向けたようです。

理由はいくつかあるでしょうが、世界の情勢が決して安定していると言えない今日、
資産保全、分散化の一環として、より国際的に評価されるものを持つという事に、
ようやく日本のお富裕層が目覚めたと言う事です。

これはアートや骨董にも言えるのですが、「動産」という考えです。
普通ハイジュエリーへの興味の大抵は「何億円」と付けられたプライタグ。
値段ばかり話題になるのも気持ちはわかりますが、
私のオークション時代の顧客など「資産」として見られる方は、
値段の前にその石のコンディションから聞いてきます。
レアピースは値段だけでなく、チャンスが無いとめぐり合えないからです。
イベントが終わって関係者から聞くには、売上は大変好調だったとのこと。
中途半端な高額品は売れない時代、本物は益々世界で取り合いになっています。
そもそもウォーホールやピカソやジャコメッティーなんかは、もうとっくに1億ドル!


草間彌生ですら、数百万ドルを超えるものもあるのですから、

それに比べたらまだハイジュエリーなんてプライスは可愛いものだし、
市場は今目覚めたばかりかもしれません。

日本でも世界基準のコレクターが生まれることを願います。
将来のために。



こんなのは、日本にあってほしいです。
