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藤原ヒロシの音楽 ── 34年間の33選

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藤原ヒロシの肩書に「ミュージシャン」とあるのを、みんな見落としてるんじゃなかろうか。そう思うときがある。


かれの守備範囲の広さを考えれば、おすすめレストランを教えてもらうのも、ホテルの印象をきくのも、時計のカスタマイズを頼むのもお門違いではない。


しかし1986年の深夜にテレビで見かけたときから、ぼくにとって藤原ヒロシといえばやはり音楽の人だ。そんなわけで、まもなくリリースされるニューアルバムを待ちながら、34年間の音楽活動から33曲を紹介する。


I LUV GOT THE GROOVE / TINNIE PUNX (1986)

まずはやはりここから。最初、藤原ヒロシはラッパーとしてブラウン管に現れた。映像はAbemaTV、ではなく31年前のテレビ出演時のもの。高木完とともにラップする藤原ヒロシの姿は今でも or 今では衝撃的。


冬の夜 / 高井戸 (1987)

テレビ『冗談画報』の企画で誕生したと思われる、竹中直人とのユニット。フォークデュオ・古井戸のカバー専門なのでこの名前。2005年には忌野清志郎のデビュー35周年ライブでも歌っている(DVD『2005★GOD Presents ROMANCE GRAY 35』に収録)。TINNIE PUNXとこれが同時期。イノベーションとノスタルジーを同時にやるスタイルは20代前半に確立されていた。


La La La… / 小泉今日子 (1990)

Amazon(CD)

藤原ヒロシの音楽をゴールデンタイムにも耳にするようになったのはこのあたりから。雨を連想させる音像は屋敷豪太と共同での作編曲で、ラヴァーズ・ロックと歌謡曲がうまくハマることを実証してみせた。これをきっかけにか、女性シンガーのプロデュース業は90年代を通して続く。映像は『ミュージックステーション』で、ギターはじゃがたらのEbby。やけに目立つコーラスはチエコ・ビューティー。


林檎殺人事件(HIROMIX) / 郷ひろみ (1991)

Amazon(CD)
オリジナルは78年にドラマ『ムー一族』の挿入曲だった樹木希林とのデュエット。90年代初頭に歌謡曲をハウスミックスする流行があり、これが収録されたミニアルバム『HIROMIX』もその一環ではなかったか。阿久 悠・穂口 雄右によるビザールな原曲を、藤原ヒロシはダビーに解体している。


H2O / Hiroshi II Hiroshi (1993年)

Amazon Prime Music / Amazon(CD)

川辺ヒロシとのヒロシ・コンビによる、夏向きのインストアルバム。「第3のヒロシ」、永井博によるジャケットがエバーグリーン感あり。1曲目のギターはノンクレジットだが小沢健二とのこと(曲名はヒロシ2、オザワ1か?)。2016年再発。


STAND BY MY WOMAN / Luv Master X (1993)

Amazon(CD)
宮崎 泉とのユニット、Luv Master Xのアルバムから。レニー・クラヴィッツ初期の名曲カバーで、COMO-LEEによるヴォコーダーが最高。2016年にデラックス版で再発。


白い太陽 / 藤井フミヤ (1994)

Amazon(CD)
チェッカーズ解散後のソロデビュー時に提供した1曲。藤井フミヤと本木雅弘が司会をしていた恋愛バラエティ『鎌倉恋愛委員会』のBGMも藤原ヒロシ仕事。


HORIZON / UA (1995)

Amazon(CD)

村上虹郎の母ことウーアのデビューシングルは藤原ヒロシ作曲によるもの。この10年のライブでのアレンジは管楽器が印象的なバンド編成だが、藤原ヒロシ・朝本浩文コンビによるオリジナルは、タイトルのとおりに水平線を思わせるブレイクビーツハウス。13年には自らの歌唱でセルフ・カヴァーしている。


I Dance Alone / Hiroshi Fujiwara featuring. Janis Ian (1996)

Amazon(CD)

ヴォーカルは、日本でもヒットの多いニューヨーク出身のフォークシンガー、ジャニス・イアン。94年の『Nothig Much Better To Do』、95年の『Hiroshi Fujiwara in Dub Conference』をミックスしたような仕上がり。カセットテープでリリースされた先行シングルで一聴して引き込まれた。2016年、デラックス盤で再発。


cappuccino / hiroshi fujiwara feat.eric clapton (2006)

Amazon(CD)

松任谷由実をヴォーカルに迎えたボサノバ。ギターはエリック・クラプトン。治外法権的なコラボレーションは、たぶんこのシングルCDでしか聴けない。


Windy Fields / チエコ・ビューティー (1993)

Amazon(CD)

一般的にレゲエがトロピカルで温暖なイメージがあった時代に、タイトルどおり寒風吹き荒ぶような音像のバックビートが印象的。実際この曲はソロアルバムでもキャシー・スレッジの歌唱で英詞でセルフ・カヴァーしているが、曲名は同じだ。これは2003年のコンピレーション盤『MELLOW WORKS OF HIROSHI FUJIWARA』収録のバージョンだが、オリジナルの入ったアルバムも傑作。


横顔と星空と嘘 / YOU (1994)

Amazon(CD)

スペースシャワーTV『BUM』で共演していたYOUのソロデビュー盤に、作曲とアレンジで参加。これは作曲が寺岡呼人。ジュン・スカイ・ウォーカーズ・ミーツ・藤原ヒロシ。ひとつの原宿コネクション。


Getting Over You / Hiroshi Fujiwara Featuring Terry Hall (1994)

iTunes Store(試聴)/ Amazon(CD)

初のソロアルバム『Nothig Much Better To Do』(2016年にデラックス盤で再発)のリードシングル。ヴォーカルはテリー・ホール。藤原ヒロシの楽曲では、男声は女声に、女声は男声に聴こえる。大サビでの風景が変わるような転調、エンディングでの『カム・トゥギャザー』も聴きどころ。ジャケットで持っているポータブルプレイヤーに注目。


何処か...どっちか... / スチャダラパー (1994)

iTunes Store(試聴)/ Amazon(CD)

『今夜はブギー・バック』のSDP版が収録されたことで有名な企画盤『スチャダラ外伝』の1曲。同年リリースのソロアルバム『Nothig Much Better To Do』ではネナ・チェリーのボーカルバージョンを。


(Sun is mellow like a )Tangerine / ELI + HIROSHI (1999)

Amazon(CD)
元ラヴ・タンバリンズのELIとのユニット。このPVは絵=さくらももこ、監督=高城剛。藤原ヒロシと高城剛の組み合わせは意外なようで、思えば91年の『BANANA CHIPS LOVE』や『VIDEO DRUG』でも組んでいたのだった。


La Dolce Vita / Hiroshi Fujiwara feat. Kahimi Karie (2001)

Amazon(CD)
カヒミ・カリィがスキャットする『甘い生活』カバー。そこには渋谷系の残り香が。


LOSTCHILD(Dub Version) / HIROSHI FUJIWARA + SHINICHI OSAWA feat.CRYSTAL KAY (2003)

Amazon(CD)
大沢伸一との連名でクリスタル・ケイをボーカルに迎えたシングルの別バージョン。ダブ・ワルツ。


DAWN (DUB'S DUB) / Luv Master X (1993)

Amazon(CD)
いくつかのバージョンがある。初めて聴いたのは91年の深夜ドラマ『BANANA CHIPS LOVE』のBGMで。94年のソロアルバムのバージョンのほうがグラスハープ的な音色が美しいが、都会的な雰囲気のこちらも心地よく、「夜明け」というタイトルも相応しい。


HOMEWORK / TOSHIO NAKANISHI (1984)

川勝正幸『丘の上のパンク』によれば、藤原ヒロシのディスコグラフィーで最も古いもの。今年(2017)逝去した元プラスティックス・当時MELONの中西俊夫によるカセットテープアルバムで、藤原ヒロシはターンテーブルのスクラッチを披露している。


Hiroshi The Ripper / Hiroshi The Ripper & Dr.YANN (1985)

MixCloud(Stereaming)

切り裂きジャックならぬ『Hiroshi The Ripper』とは、プロデュースを担当したヤン富田の命名による芸名にしてトラック名。FM番組のノベルティとして制作された音源とのこと。このリンク先のファイル(放送のエアチェックなのかもしれない)、11分あたりから始まる女性DJはちわきまゆみ、ラップはいとうせいこう、ハンドクラップは後にマッシブ・アタックとなるワイルドバンチのメンバー。


東京ブロンクス / いとうせいこう (1986)

Amazon(CD)
出演もした映画(Vシネマ?)『業界くん物語~業界人養成ギプス』と地続きの、いとうせいこう&TINNIE PUNXのアルバム『建設的』の1曲。この動画はいとうのスター性がよくわかる。2016年に再発。


カントリー・リビング / SUBLIMINAL CALM (1992)

Amazon(CD)
ラッパーとのギャップでリリース当時は慣れなかったいとうせいこうのファルセット多めなボーカルも、今聴くと愛らしい。2016年、デラックス版で再発。


ラジオ ヘブン / RADIO HEAVEN (1992)

Amazon(CD)
小林克也のいないスネークマンショー。ヤン富田、宮崎泉とともに参加。『ギヴ・ピース・ア・チャンス』風アレンジのTALKING HEADS『HEAVEN』カバーが藤原ヒロシ趣味か。


YESTERMORROW / TINY PANX (1996)

Stereo Records(Vinyl)
高木完とのTINY PANXが1曲だけの再結成。80年代とは違いリラックした雰囲気で、96年当時の日本語ヒップホップともまったく違っていた。手品セットが付属した豪華版もリリースされた(で、それを買った。手品はやらなかった)


mime / hiroshi fujiwara feat.eric clapton (2006)

Amazon(CD)

藤原節のトラックに絡む泣きのギターはエリック・クラプトン。「PRIDEのテーマ」のためのセッションと何かで読んだ記憶があるが、実際は使われなかったのかもしれないし、この曲ではないのかもしれない。ともあれナイス・インストゥルメント。


My ever changing moods / IDF (2007)

iTunes Store

INO hidefumi、Port Of Notesの小島大介との洋楽カヴァー・ライブ・バンド。DJ引退宣言後だったために混乱と誤解を招いたが、このスタイルは前述の「高井戸」の延長線上にあるのだ。


I Want You Back (HF & K.U.D.O. Remix) / Jackson 5 (2010)

Amazon(CD)

工藤昌之と連名でのオフィシャルリミックス。小西康陽も同曲で公式リミックスを手がけているが、これは原曲のイメージを大きく変えることはできないのかもしれない。


HMV渋谷おつかれサマーフェス / 藤原ヒロシと曽我部恵一 (2010)

Amazon(CD)

曽我部恵一とのユニットでHMV渋谷の閉店イベントのオーディエンス動画。2009年リリースのライブ盤には収録されていない西岡恭蔵『プカプカ』がハマってる。


デイ・ドリーム・ビリーバー / AOEQ (2011)

Amazon(CD)
YO-KONG(真心ブラザーズ、エレファントラブ)とのフォークデュオ。タイマーズ版の替え歌で忌野清志郎へのリスペクトをド直球に歌う。YO-KINGや曽我部恵一への接近は意外な気もしたが、その後のシンガーソングライター活動への助走期間だったのかもしれない。


この先に / 藤原ヒロシ (2012)

Amazon(CD)

満を持してのソロ・シンガーソングライターとしてのデビューシングル。たぶんAOEQ以降にはじめた本人の筆による日本語の歌詞で、震災に際しての無常観についてうたう。同じく震災を題材にした七尾旅人『圏内の歌』とは違った意味でリアリティがあるフォークソング。


Ricky's Delight / Monaco (2014)

Amazon(CD)

立花ハジメのプロジェクト「Monaco」へ提供したエレクトロ。立花ハジメのディスコグラフィーではLow Powers(97年)あるいはTHE CHILL(07年)のコンパクトなバンド・サウンドが好みだけど、そちらに藤原ヒロシは参加していないので。


青空 / THE BLUE HEARTS (2016)

iTunes Store(試聴) / Amazon(CD)

ブルーハーツのトリビュート盤に「青空」のリミックスで参加。選曲もアレンジも期待や予想を軽く裏切る姿勢にシビれる。


Natural Born Dub (Riverside Christmas Remix) / Hiroshi Fujiwara (2000)

Amazon(CD)

「Hiroshi II Hiroshi」で組んだもうひとりのヒロシ、川辺ヒロシによるバージョン。朝本浩文との『Hiroshi Fujiwara in Dub Conference』(95年)に収録されたオリジナルの不穏な雰囲気の展開のパートを避けて穏やかに流れる8分間の「川辺のクリスマス」。


slumbers / 藤原ヒロシ(2017)

Amazon(CD)

34曲目はおそらく、今月末にリリースされるニューアルバム『slumbers』からのものになる。いままでのところどんな内容なのかは明らかになっていない。


「眠り」を意味するタイトルはビートルズのラストアルバム『アビー・ロード』B面のメドレーを連想させるし、樹海の中に入っていくアートワークは94年のファーストアルバムとの関連を示唆している(しっかり例のポータブルプレイヤーもころがっている)。


これで音楽活動は閉店ガラガラというわけじゃないと思うのだけれど……


文とフォトショップ:堀川フミアキ



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